雨に煙る津軽峠下り
一枚の写真から
紀行文の一節から
地図上の見知らぬ峠から
旅が始まることが多い
弘西林道
その名を知ったのは数年前のことだ
北東北の地
白神山地を走るロングダート
深い々々ブナの森
その中を旅するシクロツーリストの孤独な姿
何時か訪れてみたい
そんな想いを抱いた
各地の峠を越え
地道を走り
山岳サイクリングをこなし
経験値を上げた
もう良いかも知れない
今夏に行こう
そう決心したのは昨年の秋だ
幸いにも天気予報が良い方に外れた
雨天走行の覚悟はあったが
お日様を歓迎しない訳が無い
緑の道を走り始めた
前回の峠越えから一月以上が経ち
あまりに暑い日が続き
直前に走り込みも出来なかった
脚の張りが緩み
身体が鈍っているのが分かった
最初は辛いな・・・
何時ものことだが・・・
ペダルを踏み込んだ
走り始めは慣れも無く
浮き砂利で走り辛い場面も多かった
すぐに全身が汗まみれになる
一ツ森峠への登りが一番きつかったように思う
だが、普通の林道だな
そんな印象を持った
行き来する車も多い
弘西林道を走る!
との気負いがあり過ぎたのかも知れない
緑の林道を走り続けると
時おり視界が開ける
標高の高い嶺は無いが
幾重にも山々が重なる
水場はそれなりにあった
Wボトルで臨んだが1本で良かっただろう
甘露である
特に標高のある処の水が美味しかった
7時20分に弘西林道へ分岐し
9時40分に一ツ森峠へ着いた
まだ一つ目の峠だ
自転車も三者三様
10時 追良瀬大橋
一ツ森峠から20分で下って来た訳だ
「亀の峠好きなんですよ」
実際、峠の登りは遅い
下りは?
長年オートバイでオンロード・オフロードと
さんざん走って来たのでちょっと自信がある
精神がクリアーにシャープになるのが好きなのだ
今回の相棒はTOEIパスハンターだ
前オーナーがパスハントのため工夫を凝らした自転車だ
「もう走れなくなってしまったので・・・」
前オーナーの気持を引き次いで
私が走り続けている
荷物はサドルバック一つに合羽
ザックは背負っていない
サコッシュに地図・カメラ・行動食
最低限の荷物しか持っていない
天狗峠への道は締まった地道が多い
勾配も一ツ森峠に比べれば緩く感じる
だが、ローローからギヤが外れることが滅多に無い
汗を滴らせながら
黙々とペダルを踏み続けるのみである
森が深い
何処までも緑の森である
50過ぎのおっさんがキツイ想いをしながら
何でこんな処を走っているのだろう
だって、このキツサが堪らなく好きなんだものなぁ
クーラーを効かせて
窓を閉め切って走る車ばかり
窓の外の風景はTVの画面と何処が違うのか
生の実感
バーチャルな世界じゃ無く
俺は活きているのさ
11時54分 天狗峠
ようやく二つ目
大休止
昼飯にした
おにぎりの塩気と梅干しが旨い
宿のおかみさんが握ってくれた
宿の親父さんは何台もの自転車を
弘西林道で車に拾ったそうだ
人間歳を取れば
自分一人で生きている訳じゃ無いと知るだろう
いろんな人たち
いろんなものたち
その繋がりの中で支えられ
生き生かされているのさ
それを
はらわたで
魂で
自覚したら
何にでも感謝出来るようになるのにな
12時57分 赤石川
ここから赤石川林道を通って鰺ヶ沢へ抜けることが出来る
唯一のエスケープルートだ
ブナの森
深い々々森の中
愛車を停めると一瞬の静寂
吹き抜けて往く風
ブナの樹の囁く音
森の生命感
自分の小ささを知る
津軽峠への登り道
遠雷が聞こえ
ポツポツと降りだした雨が
瞬く間に本降りになった
共に走る仲間の顔が
疲れているはずなのに
雨と汗でグショグショなのに
スッキリとしている
15時 津軽峠
いやあ、お疲れさまでした
いい顔してますよ!
益々本降りになり20分ほど雨宿り
雨は降続け意を決して出発
津軽峠の様子が変わったなと思っていた
少し下ると本当の?津軽峠だった
ロッソさん
いろいろとお世話になりました
ご参加ありがとうございました
まだ2回目なのに馴染んじゃいましたネ
タカさん
お疲れさま&ご参加ありがとうございました
タフなツーリングでした
またご一緒いたしませう
雷が鳴り
雨はより強くなった
16時 暗門大橋
17時 宿に到着
この日は集中豪雨だったそうだ
弘西林道覚書
最初、普通の林道だなと感じた弘西林道
終わってみればタフなツーリングだった
走り応えは十二分にあった
一ツ森峠・天狗峠・津軽峠
皆、600m級・700m級の峠に過ぎない
が、3つ合わせれば獲得標高は2,000mに近い
そしてその獲得標高の殆どが地道である
舗装路での2,000mでは無い
また、遠方のため
天気に合わせることが出来ない
今回は津軽峠への途中で雨に遇った
これが一ツ森峠・天狗峠の途中だったら・・・
自分自身どれくらい走れるのか
自覚したうえで出掛けるべきであろう
水場は有り
アブ多し! 虫よけスプレーは必須か
要所々々のタイムスケジュールは載せておきました
河っちたちで(雨宿りありで)10時間弱
健脚の方は8時間ほどか
日の長い夏がお薦めになろうか
宿泊先 もりのいずみ
走り疲れた身体を温泉で癒してくださりませ! 洗濯もお弁当もOK!
ルートラボ
走行72.28キロ
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